トップ

/

お役立ち資料

/

デプスインタビューとは?正しいや...

2026/9/16

デプスインタビューとは?正しいやり方と6つの工程から深掘りのコツまで紹介

この記事でわかること

  • デプスインタビューの定義と、グループインタビュー・定量調査との違い

  • 企画から報告までの6つの工程と、工程ごとに決めること

  • 深掘りの追加質問「4つの型」を比べた実験でわかったこと

  • 費用と日数のだいたいの目安

デプスインタビューとは、対象者と1対1で向き合い、60〜90分ほどかけて対象者の行動や考えを聞き取る定性調査の手法の1つです。アンケートの数字だけでは見えない、判断の過程や言葉の背景まで踏み込める点に特長があります。

ただ、いざデプスインタビューを企画するとなると、「どの工程で進めればよいのか」「深掘りの質問はこれでいいのか」と迷う担当者の方も多いのではないでしょうか。とくに深掘りは、経験がものをいう職人技のように語られがちです。

結論だけ先にお伝えすると、デプスインタビューの出来は、当日の話術よりも、質問の組み立て方で決まります。いきなり理由を聞くのではなく、行動を先にたどってから理由を確かめる、といった順番の原則などがその代表例です。

本記事では、デプスインタビューの定義と6つの工程、実験にもとづく深掘りのコツ、費用と日数の目安までを解説します。

デプスインタビューとは、1対1で60〜90分かけて聞く定性調査

デプスインタビューとは、聞き手と対象者が1対1で行うインタビュー調査のことです。「デプス(depth)」は深さを意味する言葉で、1人の対象者の行動や考えを深く掘り下げることから、この名前が付いています。

1人あたり60〜90分をかけて、行動の流れや判断の過程を順にたどっていく調査で、背景までじっくり聞く設計なら、120〜150分かける場合もあるでしょう。

グループインタビュー・定量調査との違い

グループインタビューとの違いは、その場にほかの参加者がいないことです。1対1であれば、周囲の反応を気にせずに、ほかの人の前では話しにくい話題にも踏み込めます。1人の行動と考えを、途中で切らずに最後までたどれる点が、デプスインタビューの強みです。

一方、定量調査(アンケートなど)との違いは、「何%の人がそう答えたか」という割合を出す調査ではない点にあります。結果として示すのは1人ひとりの行動や判断の筋道であって、市場における割合の数字ではありません。

デプスインタビューに向く調査と、向かない調査

向いているのは、購入や利用に至るまでの流れや、そのときの迷いを知りたい場合の調査です。また、お金や健康のようなデリケートな話題も、1対1なら話してもらいやすくなります。保険や投資の選び方、体の悩みに関わる商品の使い方などは、1対1だからこそ聞ける代表的なテーマです。

逆に、どちらの案がより多く選ばれるかのような、数の裏づけがほしい判断には向きません。手法を選ぶ基準は、過程を知りたいのか、数で確かめたいのかという一点です。数の確認が必要な場合は、デプスインタビューで仮説を立て、あとから定量調査で確かめる、という組み合わせにするとよいでしょう。

やり方|企画から報告までの6つの工程

デプスインタビューは、①企画・設計、②対象者のリクルート、③インタビューフローの作成、④実施、⑤記録、⑥分析と報告、という6つの工程で進めます。

①企画・設計

企画・設計は、調査の目的を、「何を明らかにする調査なのかが明確な1文」に書き切る工程です。「売上が伸びない原因のヒントを得る」のような広い目的は明確とは言えませんし、インタビューの中で聞くことも定まりません。

たとえば「初めて買った人が、どの場面で商品を知り、何と比べて選んだのかを明らかにする」という目的は非常に明確です。対象者は「初めて買った人」になりますし、聞くべき質問の柱も、そこからそのまま導き出せます。

まずは「何を明らかにする調査なのかが明確な1文」を書けるかどうかが出発点です。

②対象者のリクルート

対象者のリクルートは、その条件に合う人を探して、日程を確保するまでの工程です。集め方には、調査会社のモニターから条件で絞る方法と、自社の顧客リストから直接募る方法などがあります。

候補者を集めるときは、事前に簡単なスクリーニングアンケートを行い、希望条件に当てはまる人かどうかを確かめておくのが確実です。条件があいまいなまま集めると、当日になって「聞きたい経験を持っていない方だった」という事態が起こりかねません。対象者の定義をスクリーニングアンケートに落とし込む方法は、別記事「スクリーニング調査とは?スクリーナーの設問を作る手順と、該当者を正確に抽出する聞き方」をご覧ください。

③インタビューフローの作成

インタビューフローとは、当日の質問の流れをまとめた進行表のことです。

導入で答えやすい事実から入り、行動の流れをたどり、後半で背景に踏み込む、という順番の原則に基づいて組み立てていきます。

たとえば商品の購入経験を聞く調査なら、最近の購入体験を一通り聞く → その中の1回を選んで詳しく聞く → 迷った点などを確かめる、といった流れが基本形です。一言一句の台本にする必要はなく、質問と、深掘りの型と、おおまかな時間配分が書いてあれば当日は動けます。

聞きたいことをすべて並べてしまうと、60〜90分にはまず収まりません。深掘りの時間も残すために、質問の数はしぼり、1つの行動を深くたどれる構成にします。

④実施 / ⑤記録 / ⑥分析と報告

実施の当日は、フローに沿って進めながら、対象者の答えに応じて追加質問を重ねます。話が予定とちがう方向にふくらんだときは、予定どおりフローに戻るか、ふくらんだ話をそのまま追いかけるかを、調査の目的に照らして選ぶ判断も必要です。

デプスインタビューの記録は多くの場合、対象者に許可取りを行った上で、回答の様子を録音・録画します。当日のメモは要点にとどめるのが基本です。正確な発言は後日の文字起こしに任せれば、インタビュー中は気になる発話を見つけることに集中できます。

分析と報告は、聞き取った発言を、調査の目的に対する「答え」に整理する工程です。まとめ方のコツはのちほど説明します。

深掘りの追加質問は、型によって返ってくる答えが変わる

深掘りというと、「なぜ?」を繰り返して本音に迫る、という説明が定番です。また、多くの解説は「臨機応変に追加質問を」で止まっていて、どんな聞き方がどんな答えを引き出すのかまでは踏み込んでいません。

実は、深掘りの追加質問にはいくつかの型があり、どの型で聞くかによって、返ってくる答えの質が変わるという結果が、近年行われた実験からわかっています。

4つの型を比べた実験

オールボー大学の研究チームは、参加者64名を4つのグループに分けて、深掘りの追加質問の型によって答えがどう変わるかを比べる実験を行いました。参加者は、チャットボットが出す追加質問に答える形式です。集まった回答は1,287件にのぼり、研究チームがそれを採点して比べました。

比べられた4つの型は、次のとおりです。

  • 描写を促す型:出来事の最中の気持ちや考え、周囲の状況まで詳しく話してもらう

  • 1つの出来事に絞る型:漠然とした全体的な記憶にとどめず、その中のたった1つの出来事へ引き戻して、詳しく話してもらう

  • 言葉を確かめる型:対象者が使った言葉や言い回しの意味を、本人の言葉で説明し直してもらう

  • 理由を尋ねる型:出来事や感情の理由について、本人の見方を尋ねる

理由を尋ねる型は、的を外した答えや漠然とした答えが混ざりやすかった

結果として、理由を尋ねる型は、ほかの型よりはっきりと低い評価になりました。評価の観点は、答えが質問に対して的を射ているか、どれだけ具体的か、意味がはっきりしているか、の3点です。

一方で、話してもらえる量そのものには、4つの型で差がありませんでした。つまり「なぜ?」と尋ねても、量は減らないのに、的を外した答えや、漠然とした答えが混ざりやすくなるということです。

研究チームが比べたすべての場面で高かったのは、1つの出来事に絞る型

対照的に、研究チームが比べたすべての場面で高い評価を得たのが、1つの出来事に絞る型でした。

「その中で、いちばん印象に残っている1回を、順を追って教えてください」のように、漠然とした全体的な記憶から、具体的な1回の出来事へ引き戻して話してもらう聞き方を指します。

具体的な事象を絞り、事実だけを思い出してもらうようなアプローチがデプスインタビューにおいても有効と言えそうです。

なお、この研究は、チャットボットが追加質問を行う形式で取られたデータであり、人が対面で行うデプスインタビューそのものを測ったものではありません。しかし比較対象の4つは追加質問の型そのものなので、人間が聞く場合の深掘り質問選定の参考にできます。

4つの型を、インタビューフローに組み込む

型の使い分け

深掘りの質を左右するのは、当日その場で切り返す話術ではありません。フローのどの質問に、どの型の追加質問を用意しておくかを、作成の段階で決めておくのが確実です。使い分けの目安を、聞き方の例文とあわせて示します。

  • 全体像の把握:描写を促す型
    例:そのとき、周りはどんな様子で、何を考えていましたか?

  • 具体化:1つの出来事に絞る型
    例:その中でいちばん印象に残っている1回について、順を追って教えてください。

  • 明確化:言葉を確かめる型
    例:いま『便利』とおっしゃいましたが、どういう意味で使われましたか?

  • 理由・背景の把握:理由を尋ねる型(使う順番に注意)
    例:どうしてそのように考えたのですか?

深掘りの追加質問の4つの型を、使う順番に並べた図。理由を尋ねる型は、行動をたどり終えた最後に回す。①描写を促す型「そのとき、周りはどんな様子で、何を考えていましたか」。②1つの出来事に絞る型「いちばん印象に残っている1回を、順を追って教えてください」。③言葉を確かめる型「いま『便利』とおっしゃいましたが、どういう意味で使われましたか」。④理由を尋ねる型は、行動をたどり終えた最後に回す。当日の話術ではなく、フローに型を書き込んでおく。

たとえば「定期購入をやめた人」への調査であれば、やめる前後の出来事を一通り聞く質問には、描写を促す型が合うはずです。「やめようと決めたときのことを教えてください」という質問には、1つの出来事に絞る型を添えます。対象者が「なんとなく面倒になった」と言ったら、言葉を確かめる型で「面倒」の中身を聞き、理由を尋ねる型は行動をたどり終えた最後に回す、といったイメージです。

もちろん、型の名前まで覚える必要はなく、フローの質問の脇に、こうした例文の形で書いておけば足ります。

理由は、行動を聞いたあとで確かめる

4つ目の理由を尋ねる型だけは、出す順番への注意が欠かせません。いきなり「なぜ買ったのですか」と聞くのではなく、行動と場面を先にたどり、理由はあとで確かめる順番で使います。

理由を直接聞くだけでは本当の理由にたどり着きにくいのかは、別記事「【保存版】ユーザーインタビューのやり方・進め方|6つの工程を詳細に解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

聞いたあとのまとめ方

インタビューを終えたら、次は聞き取った内容の整理に移ります。手順は、3つの段階で考えると進めやすいはずです。

まず1人ずつ、行動の流れと判断が変わった場面を短くまとめます。次に見るのは、参加者に共通して現れた行動・考えと、人によって分かれた点です。「多くの参加者が同じ場面でつまずいていた」「迷いの中身は人によって分かれた」のように、共通と相違を分けて書き出します。

最後に、企画のときに1文で書き切った調査の目的に戻り、その問いへの答えとして書き直せば、報告の骨組みは出来上がりです。要約だけでなく、象徴的な発言を引用する形で添えると、答えに至った過程まで読み手に伝わります。

報告書の全体は、「調査の目的 → 結果のまとめ → 目的に対して分かったこと + 発言による裏づけ → 次の打ち手の提案」の順に並べると、読み手の判断に直結するはずです。報告の完成形は、発言集ではなく、調査の目的への答えだと意識しておくと、より良い報告書が作れると思います。

費用と日数の目安

デプスインタビューの費用の内訳は、人数を変えても動かない費用と、1人増えるごとに増える費用の2つに分けて考えます。人数で動かない費用は、企画・設計と、分析・レポートで、調査の内容にもよりますが、合計10万〜35万円となることが多いです。

一方で、1人増えるごとにかかる費用としては、リクルート・謝礼・インタビューの実施の費用となり、1人あたり平均して6.8万〜13万円が足されます。6人にデプスインタビューを実施する場合の総額は、およそ50万〜110万円が相場となるでしょう。

内訳の分け方と、人数を変えたときの総額の計算のしかたは、別記事「デプスインタビューの費用はどれくらいかかる?|6つの内訳と相場、人数を変えても総額を自分で計算できる分け方」で詳しく解説しています。

スケジュールの面では、1人60〜90分のインタビューでも、1日に会えるのは多くても3〜4人です。10名に行うなら、インタビューの実施だけで3日前後を見込みます。さらに、記録に使う文字起こしには、音声1時間あたり5〜10時間かかるのが目安です。

企画から報告までの工程別のスケジュールの立て方は、別記事「デプスインタビューは何日かかる?企画から報告までの工程別スケジュールと日数の出し方」で詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。

デプスインタビューを手間をかけずに行うなら、AIインタビューサービス「Spark Research」

Spark Research は、アサヒビール日本たばこ産業(JT) などの大手メーカーも利用する、AIインタビューサービスです。

Spark Research なら、AIがデプスインタビューの調査を設計し、インタビューについても対象者の回答内容に応じて、自動で深掘りを行います。大きな工数をかけずに、高い品質のインタビューを行える点が特徴です。また、工数削減とあわせて、大手の調査会社に依頼した場合と比較して70%以上の費用削減につながった事例も出てきています。

デプスインタビューの設計から分析までご一緒できますので、下記よりお気軽にお問い合わせください。

深掘りの型をフローに書き込んで、デプスインタビューを設計しよう

デプスインタビューの価値は、1人の行動と判断の過程を、順を追って最後までたどれることにあります。その出来を左右するのは、当日の話術ではなく、どの質問をどの型で深掘りするかを、設計の段階で決めておけるかどうかです。

最初の一歩として、調査の目的を、何を明らかにするのかが分かる1文に書き切るところから始めてみてください。そこから対象者の条件と質問が決まり、質問ごとに深掘りの型を書き込めば、当日に慌てないインタビューフローが出来上がります。本記事が、設計の手がかりになれば幸いです。

よくある質問

デプスインタビューの時間は、1人あたりどれくらい必要ですか?

1人あたり60〜90分が目安になります。行動の流れを順にたどる必要があるため、背景までじっくり聞く設計では、120〜150分かけることもあるほどです。

1日に何人までインタビューできますか?

1日に実施できるのは、多くても3〜4人にとどまります。聞き手の集中力に加えて、あいだの休憩や記録の整理の時間を考えると、それ以上詰め込むのは現実的ではありません。

深掘りの質問は「なぜ?」を繰り返せばよいですか?

「なぜ?」だけに頼るのは避けたほうがよい、というのが実験からの示唆です。理由を尋ねる型は、的を外した答えや、漠然とした答えが混ざりやすいことが報告されています。描写を促す型や、1つの出来事に絞る型と組み合わせると、答えが安定しやすくなるでしょう。

グループインタビューとどちらを選べばよいですか?

1人の行動や判断の過程を深く知りたい場合はデプスインタビュー、複数の参加者のやり取りや反応の幅を見たい場合はグループインタビューが向いています。お金や健康のようなデリケートな話題を扱うなら、ほかの参加者がいない1対1のほうが話してもらいやすいはずです。

費用はどれくらいかかりますか?

人数で動かない費用10万〜35万円に、1人あたり6.8万〜13万円が加わります。6人で行う場合の総額は、およそ50万〜110万円が目安です。

参考文献

  • Jacobsen, R. M., Cox, S. R., Griggio, C. F., & van Berkel, N. (2025). Chatbots for Data Collection in Surveys: A Comparison of Four Theory-Based Interview Probes. Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '25).

AIインタビューのこと、まるごとご相談ください。

リサーチ設計から、組織への活用の定着まで。AIインタビューに関するお悩みは、スパークリサーチにお任せください。

AIインタビューについて相談する

お問い合わせ

原則1営業日以内に、担当者よりサービス概要資料をご送付させていただきます。

お問い合わせフォーム

© 2026 Spark Research, Inc. All rights reserved.