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AIペルソナとは?作り方と、AI...

2026/9/28

AIペルソナとは?作り方と、AIに答えさせてよいこと・実在の顧客に聞くべきことの判断方法

この記事でわかること

  • AIペルソナという言葉が指している2つのもの

  • AIペルソナでできること

  • AIペルソナを作る手順

  • AIに答えさせた回答と、実在の人の回答との違い

AIペルソナとは、生成AIを使って顧客像(ペルソナ)を作ったり、AIに架空の顧客を演じさせて質問に答えてもらったりする手法の総称です。ここ数年で大手の広告会社が相次いでサービスを公開し、事業会社の調査の現場でも耳にする機会が増えました。

ところが、いざ「AIペルソナを作ってみよう」と調べ始めると、下記のような課題が生まれがちです。

  • 顧客データから生まれる事実の話と、AIが架空の回答者になりきって答える話が混ざってしまう

  • そもそも社内で信頼性が疑われ、「使えるのか、使えないのか」の議論が始まってしまう

結論を先にお伝えすると、AIに架空の顧客を演じさせた回答は、顧客全体の受け止め方をつかむなどの用途には使える一方で、セグメントごとの声や違いを確かめる用途には不十分です。どこまで使えるかを知っておくことが、AIペルソナを調査に活かす出発点となります。

本記事では、AIペルソナという言葉が指すものを定義したうえで、AIに回答者を演じさせる手法を通して判断できること、実際の作り方の手順、実在の人間の回答と突き合わせた研究の結果、そして実在の顧客に聞くべきこととの線引きについて解説します。

AIペルソナとは?

AIペルソナという言葉は、まだ新しい言葉で定義が定まっておらず、解説記事や各社のサービスでは大きく分けて2つの別のものを指して使われています。

「人物像を作る」と「回答者を演じる」の2つがある

1つ目は、AIが顧客データから人物像を作るという使い方です。購買履歴や行動ログ、SNSの投稿などをAIに分析させ、「30代・共働き・平日は時短調理を優先する」といった顧客像を文章として書き出させる手法のことです。従来のペルソナ設定をAIを活用して実行することを指しています。

2つ目は、AIに架空の回答者を演じさせる使い方です。年齢や職業、価値観などの属性を与えたAIに「この新商品をいくらなら買いますか」といった質問をし、その人物になりきった答えを返してもらいます。生成AIの特性を活用した、新しいリサーチの手法とも言えます。

人物像を作る

回答者を演じる

AIがすること

顧客データを分析して、顧客像を書き出す

与えられた人物になりきって、質問に答える

AIに入れるもの

購買履歴・行動ログ・SNSの投稿など

年齢や職業などの属性、既存の調査データ

AIから出てくるもの

ペルソナ(人物像の文書)

質問への回答

1つ目の「人物像を作る」AIペルソナは、従来からあるペルソナ設定(顧客像を一人の人物として書き出す作業)のうち、材料を集めて人物像にまとめる部分をAIに手伝わせるものです。作業の中身はペルソナ設定そのものなので、書き込む項目や材料の集め方については、別記事「ペルソナ設定のやり方|項目の一覧と、材料を集めるインタビューの人数・聞くことを解説」で解説しています。

本記事では、この2つ目の「回答者を演じる」AIペルソナを主題として扱っていきます。

AIペルソナで何ができるか

AIに回答者を演じさせることで、従来の調査では難しかったことができるようになるのが、この手法が広がっている理由です。

対象者数と時間の制約が外れる

実在の人に聞く調査では、対象者を集めるのに数週間かかり、人数も予算と期間の都合で決まってしまいます。しかし、AIペルソナであれば、何百人の回答でも、質問してから数分で返ってくるという、対象者の人数と時間の制約からの解放が、AIペルソナの最大のイノベーションです。

しかも、聞き方を変えて聞き直すのも、対象者の属性を変えて聞き直すのも、その場で済み、チャットでやり取りをするだけなので工数もかかりません。

これにより、まだ仮説が決まっていないようなタイミングから、仮説を何本も出して比べられるようになります。企画の初期、「そもそも誰に聞くべきか」さえ決まっていない段階ほど、この速さは頼りになるはずです。

人に聞きにくいことも聞ける

また、実在の人には聞きにくい質問も、AIペルソナには聞けます。まだ社外に出せない企画や発売前の価格、競合との比較のように、機密の都合で外部の対象者に見せられない題材が、その代表です。

収入や健康、家庭の事情のように、対象者が答えをためらいやすい質問についても、AIペルソナは回答を返してきます。社外に見せられない題材や、聞くこと自体が難しい質問でも、全体としてどう受け止められそうかを大づかみに知るところまでは進められるという点は、実在の人にはない利点でしょう。

AIペルソナの作り方

ここからは、回答者を演じるAIペルソナを実際に作って使うまでの手順を、4つに分けて説明します。専用のサービスを使う場合でも、対話型のAIに自分で人物像を指示する場合でも、考える順番は変わりません。

①何を決めるためのAIペルソナかをはっきりさせる

最初に決めるのは、AIペルソナの答えを使って何を決めたいのか、という一点です。「新しい価格を受け入れてもらえるか」「2つの広告案のどちらが伝わるか」のように、決めたいことが一文で書けるまで絞り込みます。

決めたいことが定まらないと、次の手順で指定する人物像の項目も定まりません。価格の受け入れを確かめたいなら利用年数や購入頻度が、広告の伝わり方を確かめたいなら情報の集め方や普段見ている媒体が、AIペルソナに渡すべき情報になります。

②元にするデータを用意する

次に用意するのは、人物像の元になるデータです。自社の顧客アンケートや購買履歴のような自社独自のデータと、公的な統計や既存の調査結果のような外部のデータの組み合わせが理想的な情報源となります。

ここで押さえておきたいのは、AIペルソナによる信頼できる答えは、元にしたデータの範囲でしか出てこないという点です。自社の既存顧客のデータだけを元にして、まだ顧客になっていない層の反応を聞いても、返ってくるのは既存顧客に似た答えになりがちでしょう。

あくまで大きな情報を整理し、どのような思考を持つかを予測するのが生成AIの役割のため、元にするデータが非常に重要です。

なお、実在の顧客のデータを使うときは、氏名や連絡先を取り除いた匿名の状態にしてからAIに渡すようにしましょう。

③人物像を与えて聞く

データがそろったら、AIに人物像を与えて質問します。指示の形は、たとえば「あなたは35歳の会社員で、共働きで、子どもが1人います。週に3回は自炊し、時短調理の家電を2年前に買いました。次の質問に、この人物として答えてください」のように、属性と行動を並べて渡す書き方が基本です。

また、同じような属性のAIペルソナを1つだけでなく、10や30と複数作ることも有効です。1つのAIペルソナだけでは、同じ属性の別のAIペルソナも同じように答えるのかが分かりません。

同じ属性で複数のAIペルソナに答えさせれば、答えがどれくらいそろうか、どれくらい散らばるかまで見えてきます。答えの散らばりまで見ておくことが、次の④で答えを確かめるときの材料です。

④出てきた答えを確かめる

最後の手順では、出てきた答えをすでに答えがわかっている質問の結果と突き合わせて確かめます。

過去のアンケートで実測した「この商品の認知率は4割」「購入者の6割はセール時に買っている」といった数値を、AIペルソナに同じ聞き方で答えさせ、実際の数値と並べてみてください。ここで大きく外れるなら、人物像の設定か元のデータのどちらかを疑う必要があります。

あわせて、同じ質問を言い回しを変えて2、3通り聞き、答えが変わらないかも見ておきたいところです。言い回しだけで動く答えは、判断の材料にはなりません。

そして、順番として最後に突き合わせるのが、実在の顧客の答えです。同じ質問を実在の顧客にも聞き、AIペルソナの答えと並べる工程を、調査の計画に最初から入れておきます。

AIペルソナを作って使うまでの4つの手順を、左から順に並べた図。専用のサービスでも対話型のAIでも、考える順番は変わらない。1つめは「何を決めるかをはっきりさせる」で、決めたいことが一文で書けるまで絞り込む。2つめは「元にするデータを用意する」で、答えは元にしたデータの範囲でしか出てこない。3つめは「人物像を与えて聞く」で、同じ属性で10や30と複数作り、答えの散らばりを見る。4つめは「出てきた答えを確かめる」で、答えがわかっている質問と突き合わせ、実在の顧客とも並べる。決めたいことの一文が、指定する項目まで決める。

AIに答えさせた回答は、実在の人とどこがずれるか

手順の④で「実在の顧客と突き合わせる」と書きましたが、では実際に突き合わせると、どこがどれくらいずれるのでしょうか。この問いに、大規模な実際の調査データを使って正面から取り組んだ研究があります。

AIの回答は、"全員分を平均した値"であれば実態に近い

ヴァンダービルト大学の研究チームは、属性を与えて演じさせたAIの回答が、同じ属性を持つ実在の人の回答とどこまで一致するかを調べました。

材料にしたのは、米国で長年続いている大規模な世論調査の、2016年と2020年の2回分です。この調査に実際に答えた7,530人について、年齢・性別・学歴・収入・支持政党など10項目の属性を、一人ひとりそのままAIペルソナに与えました。

そのうえで研究チームは、実在の回答者7,530人それぞれに、同じ属性を持つAIペルソナを30人ずつ作っています。そして作られたAIペルソナそれぞれが、政党や、人種・宗教などで分けた16のグループに対する好感度を0点から100点で答えました。

研究の規模を示すと、AIに答えさせた点数は、1つのグループへの点数1つを1件と数えて7,530人×30×16、合わせて約361万件です。

結果として、AIの回答者全員の点数を平均した値は、実際の調査で全員分を平均した値に近くなりました。答えた人全員を平均したときの受け止め方を大づかみに知る用途では、AIペルソナの答えは、実際の調査の平均と近い値を出せることが報告されています。

AIの回答は、散らばりが実際より小さく、層ごとの違いはおよそ半分が実際と食い違う

ただし、平均が近いことと、一人ひとりの答えが実在の人に似ていることは、別の話です。

まず散らばりについては、AIの回答は、実際の人の回答よりも狭い範囲に集まっていました。とくに人種や宗教で分けた集団への質問で、その差が大きく出ています。実在の人なら一定数いる、極端に高い点や低い点を付ける人が、AIの回答にはあまり現れませんでした。

次に見るのは、層ごとの違いです。本記事で「層ごとの違い」と呼んでいるのは、年齢や学歴などの属性で分けたときに、答えがどう違うかを指します。

研究チームは、分析に使った11のグループと、2016年・2020年の2つの調査年を組み合わせ、11×2で22通りの分析を行いました。22通りのそれぞれで、「年齢が上がると好感度はどう動くか」「学歴が高いと好感度はどう動くか」のように、10項目の属性それぞれについて層ごとの違いを、実際の調査とAIの回答とで一つずつ突き合わせています。

その結果、突き合わせた層ごとの違いのうち、およそ半分が実際の調査と食い違いました。そのうち3割は、向きまで逆だったと報告されています。向きが逆になるとは、たとえば実際の調査では年齢が上がるほど好感度が高いのに、AIの回答では年齢が上がるほど低くなる、といった食い違いのことです。

なお、指示文の言い回しがわずかに違うだけで答えの出方が変わることも、研究チームは確かめています。

研究チーム自身は、この結果を「AIペルソナは使えない」とはまとめていません。全員分を平均した値をつかむ用途には使え、層ごとの違いから何かを推測する用途には頼れない、というのが研究チームの整理です。調査の実務でいえば、クロス集計のように層ごとに分けて読む分析が、後者にあたるでしょう。

実際の調査業務に置き換えると、「全体としてはこう受け止められそうだ」という見通しはAIペルソナで立てられる一方、「若い層と年配の層で反応がどう違うか」といった答えは、AIペルソナの回答から読み取ってはいけない、という結論となります。

AIペルソナで足りる場面と、実在の顧客に聞く場面

研究の結果を踏まえると、AIペルソナの答えで決めてよいことと、実在の顧客に聞かなければ決められないことの線引きが見えてきます。判断の基準は、「全体としてどうか」で足りるか、それとも散らばりや層ごとの違いまで必要か、の一点です。

AIペルソナで足りる場面

  • 仮説を出す:新商品の受け止められ方について、想定される反応を複数並べ、確かめる価値のある仮説を選ぶ

  • 設問のたたき台を作る:作成したインタビューの質問をAIペルソナにしてみて、質問の意味が伝わらない箇所や、答えようのない聞き方を先に見つける

  • コンセプト案の受け入れられ方を見る:2つの案のどちらが全体として受け入れられやすそうか、ざっくり見る

実在の顧客に聞く必要がある場面

  • 少数派の声を拾う:AIの回答は散らばりが小さく、極端な意見や少数の意見が出にくい

  • 意見がどれだけ割れるかを知る:全体としての受け止め方が近くても、賛成と反対がどの程度に分かれるかまでは、AIの回答では再現されない

  • まだ言葉になっていない理由を探る:AIは元にしたデータにある範囲で答えるため、データにない新しい理由や迷いは出てこない

どちらの手法で調べるべきかは、手順の①で書いた「決めたいことの一文」に、どんな答えが必要かを見れば分けられます。答えが「全体としてどうか」で足りる問いなら、AIペルソナに答えさせてよい問いです。答えに「誰が」まで要る問いなら、層ごとの違いの話なので、実在の顧客に聞く問いになります。

たとえば「このパッケージ案、どちらがよさそうか」という問いは、「全体としてどちらが受け入れられやすいか」までなら、AIペルソナで足りる側です。「30代の女性にはどちらが刺さるか」まで決めたいなら、答えに「誰が」が要るため、実在の顧客に聞く側でしょう。ターゲットを絞った施策の判断については、実在の顧客に確かめるのが現実的です。

まだ言葉になっていない理由を、一人の顧客を深く調べて探る方法については、別記事「N1分析とは?対象者の選び方からメリット・デメリット、実施のポイントまで解説」で解説しています。

AIペルソナで足りる場面と、実在の顧客に聞く場面を、左右に並べて比べた図。答えに「誰が」まで要るかどうかで分けられる。左のAIペルソナで足りる場面は「次に何を聞くかを決める場面」で、仮説を出す、設問のたたき台を作る、コンセプト案の受け入れられ方を見る、の3つ。答えが「全体としてどうか」で足りる問いにあたる。右の実在の顧客に聞く場面は「聞かなければ決められない場面」で、少数派の声を拾う、意見がどれだけ割れるかを知る、まだ言葉になっていない理由を探る、の3つ。答えに「誰が」や「どれくらい割れるか」まで要る問いにあたる。AIペルソナで仮説を立て、実在の顧客で確かめる。

効率的に実在の顧客に確かめるなら、AIインタビューサービス「Spark Research」

Spark Research は、アサヒビールや日本たばこ産業(JT) などの大手メーカーも利用する、AIインタビューサービスです。

AIペルソナを使えば、調査を始める前に仮説を何本も立てられます。ただ、ここまで見てきたとおり、実務における用途は限定され、その仮説を実在の顧客に確かめる工程も残ります。

Spark Research なら、AIがインタビューをモデレートするというアプローチによって、数十名から数百名の実在の顧客に対し、工数をかけずに一斉にインタビューを実施できます。AIペルソナ特有の手軽さを維持したまま、意見の散らばりや層ごとの違いも含め、実在の顧客の声として確かめられることが可能です。

AIペルソナを利用して立てた仮説を、実在の顧客に確かめる調査の設計などもご一緒できますので、下記よりお気軽にお問い合わせください。

AIペルソナで仮説を立て、実在の顧客で確かめよう

AIペルソナの答えは、AIの回答者全員の答えを平均した値なら実際の調査に近いと報告されているため、全体としてどう受け止められそうかをつかみ、次に何を聞くかを決める手段として使えます。

一方で、層ごとの違い、意見の散らばり、少数派の理由は、実在の顧客に聞く工程を残しておく必要があるでしょう。

まずは、手元の調査で決めたいことを一文に書き出し、答えが「全体としてどうか」で足りる問いなのか、答えに「誰が」や「どれくらい割れるか」まで要る問いなのかを分けてみてください。後者にあたる問いを、実在の顧客に聞く調査の計画に組み込むところが、最初の一歩になります。

よくある質問

AIペルソナと、ペルソナ設定は何が違いますか

ペルソナ設定は、実際の顧客に聞いて集めた材料から、顧客像を一人の人物として書き出す作業です。AIペルソナのうち「人物像を作る」ほうはこの作業をAIに手伝わせるもので、「回答者を演じる」ほうは、書き出した人物像をAIに与えて質問に答えさせるものにあたります。人物像を作る工程と、作った人物像に答えさせる工程という、前後の関係です。

AIペルソナの答えは、どこまで信じてよいですか

全体としてどう受け止められそうかを大づかみに知る用途であれば、AIの回答者全員の答えを平均した値が実際の調査に近いと報告されています。一方で、意見の散らばりや層ごとの違いについては実際の調査と食い違うことが多いため、結論の根拠にはせず、実在の顧客に確かめる前提で扱うのが安全です。

AIペルソナを作るのに、どんなデータが必要ですか

人物像の元になるデータとして、自社の顧客アンケートや購買履歴、または公的な統計や既存の調査結果を用意します。AIペルソナの答えは元にしたデータの範囲でしか出てこないため、聞きたい層のデータが含まれているかを先に確かめておくとよいでしょう。実在の顧客のデータを使う場合は、氏名や連絡先を取り除いた匿名の状態にしてから渡します。

AIペルソナがあれば、実際の調査は必要なくなりますか

なくなりません。AIペルソナは仮説を立てて何を聞くかを決める段階で力を発揮しますが、層ごとの違いや少数派の理由を確かめる段階では、実在の顧客に聞く調査が残ります。実在の顧客に聞く調査をAIが担う方法については、別記事「AIインタビューとは?|従来の定性調査との違い・メリットと、AIに向く調査/向かない調査」で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考文献

  • Bisbee, J., Clinton, J. D., Dorff, C., Kenkel, B., & Larson, J. M. (2024). Synthetic Replacements for Human Survey Data? The Perils of Large Language Models. Political Analysis, 32(4), 401–416.

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