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VOC分析とは?進め方の4つの工...

2026/9/25

VOC分析とは?進め方の4つの工程とチャネルの設計、顧客の声を分類して数える方法を解説

この記事でわかること

  • VOC分析の意味と、アンケートの分析との違い

  • 顧客の声が集まる5つのチャネルと、その使い分け

  • 目的の設定から現場への反映までの4つの工程

  • 集まった声を分類して数える方法と、直す順番の決め方

顧客の声は、日々大量に届きます。問い合わせの記録、SNSへの投稿、通販サイトのレビューと、集まるチャネルはいくつもあるのに、読まれないままたまり続ける、という状態は珍しくありません。

いざ分析しようとしても、届く声は形式も内容もばらばらです。どこから手を付けて、どう数えれば判断の材料になるのかが分からず、目に付いた声をいくつか確認するだけで終わってしまう、といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

結論だけ先にお伝えすると、VOC分析の要は、届いた声を仕分けるための「分類の箱」を作り、継続的にその箱で数え続けることにあります。箱さえできれば、ばらばらに届く声も、判断の材料に変わるはずです。

本記事では、VOC分析の意味とアンケートの分析との違い、声が集まるチャネルの設計、進め方の4つの工程、分類して数える方法、直す順番の決め方までを順に解説します。

VOC分析とは、届き続ける顧客の声を判断の材料に変えること

VOC分析とは、顧客から寄せられる声(VOC:Voice of Customer)を集めて分類し、商品やサービスの改善に生かす取り組みのことです。このときの目的は、声を集めることではなく、集めた声をもとに「次に何を直すか」を決めることにあります。

分析と聞くと難しく感じられるかもしれませんが、中心にある作業は「声を分類して数える」という地道なものです。例えば「価格への不満が先月より増えた」という形にできれば、今後の施策に対する議論を、感覚ではなく事実をベースに進められます。

分析がうまく回ると、改善テーマの発見も、直した効果の確認も、件数の増減や顧客の声を根拠に進むようになるはずです。顧客満足度や解約率といった数字が動くより先に、不満の増加という予兆をつかめる可能性も広がります。

VOCは「顧客の声」。問い合わせも投稿もレビューも含む

VOCは、日本語ではそのまま「顧客の声」という意味です。コールセンターへの問い合わせ、SNSの投稿、通販サイトのレビュー、アンケートの自由記述、営業やサポートの担当者が直接聞いた要望まで、顧客が発した言葉はすべてVOCに含まれます。

また、苦情や不満だけがVOCではありません。「この使い方が便利だった」という好意的な声も、「こういう商品はないのか」という要望も、次に何を直すか・何を作るかを決める材料として同じように扱います。

アンケートの分析と、どこが違うのか

アンケートは、こちらで設問と選択肢を用意して、一度にまとめて回答を集める方法です。何を聞いたかが決まっているため、集計の枠組みも設問がそのまま与えてくれます。

一方のVOCは、設問がないまま毎日届き続けるものです。同じ「価格」の話でも書き方は人によって違い、そもそも何の話をしているのかから読み取らなければなりません。設問という枠組みがない分、分類の基準を自分で作る必要があり、これがアンケートの分析との、いちばん大きな違いといえます。

顧客の声は大きく分けて5つのチャネルに集まる

VOCの集まるチャネルは、大きく分けて5つです。それぞれで、集まる声の性質も、集めるのにかかる手間も同じではありません。

集まるチャネル

集まる声の性質

集める手間

コンタクトセンター(電話・メール・チャット)

困りごとや苦情が中心。放置できない声が最初に届く

記録の仕組みがあれば日々自動でたまる

SNS・口コミサイト

率直な感想や他社との比較。想定していなかった使われ方も現れる

検索や収集ツールで拾い集める手間がかかる

通販サイトなどのレビュー

星の評価と、その理由がセットで残る

ある程度自動でたまるが、多くない場合はレビューを促す施策を実施する手間がかかる

アンケートの自由記述

こちらの設問に沿った意見。聞きたいテーマに絞れる

調査の設計と配信の手間がかかる

インタビュー

理由や背景まで掘り下げた語り。1人から得られる情報がいちばん深い

対象者の募集と実施に手間と時間がかかる

この5つは、「向こうから届く声」と「こちらから聞きにいく声」の2つに分けて捉えると、使い分けがはっきりします。

向こうから届く声(コンタクトセンター・SNS・口コミ・レビューなど)

コンタクトセンターへの問い合わせ、SNSや口コミサイトへの投稿、通販サイトのレビューは、こちらが調査を企画しなくても向こうから届く声です。手間をかけずに毎日たまり、件数も多いため、VOC分析の出発点になりやすいチャネルといえます。なお、SNSや口コミサイトの声を継続的に集めて追いかける取り組みは、「ソーシャルリスニング」とも呼ばれるものです。

ただし、収集できる声の内容はこちらでは選べません。何について、誰が、どんなときに書くかは顧客に委ねられており、聞きたいことが届くとはかぎらないのが、向こうから届く声に共通する性質です。

こちらから聞きにいく声(アンケート・インタビュー)

残る2つ、アンケートとインタビューは、こちらから顧客に聞きにいって集めます。何を聞くかを決められるため、「解約を考えたことがあるか」「どの機能を使っているか」のような、向こうからは届きにくいテーマの声も集められるのが強みです。

そのかわり、設問づくりや対象者の募集といった準備の手間がかかります。とくにインタビューは、1人ひとりの理由や背景まで掘り下げられる一方で、準備から実施までに相応の時間が必要です。

インタビューの進め方の全体像は、別記事「【保存版】ユーザーインタビューのやり方・進め方|6つの工程を詳細に解説」で工程ごとに解説しています。

顧客の声が集まる5つのチャネルを、向こうから届く声と、こちらから聞きにいく声の2つに分けて比べた図。向こうから届く声はコンタクトセンター・SNS・口コミ・レビューで、手間をかけずに毎日たまり、件数が多く出発点になりやすい一方、何について書くかは相手に委ねられるため、聞きたいことが都合よく届くとはかぎらない。こちらから聞きにいく声はアンケートとインタビューで、何を聞くかをこちらで決められ、向こうからは届きにくいテーマも集められる一方、設問づくりや対象者の募集に手間がかかり、理由や背景まで掘り下げられる。集めるチャネルは目的から逆算して選ぶ。

VOC分析の正しい進め方の4工程

ここからが、VOC分析の進め方です。工程は大きく分けて4つあります。

具体的には、①何を決めるためにVOCを集めるのかを決める、②集めるチャネルを決める、③分類して数える、④直す順番を決めて結果を現場へ戻す、という流れです。とくに①を飛ばして③の分類から始めると、何のための分類かを決められないまま作業だけが進んでしまうため、注意してください。

①何を決めるために集めるのかを先に書く

最初の工程では、声を集める前に、「この分析で何を決めるのか」を1文で書き出します。「解約の理由で最も多いものを特定して、来期の改善テーマを決める」のような具体的な1文があれば、どこから声を集めるか、どんな分類の箱を作るかも、その1文から決められるはずです。

目的が空欄のまま集め始めると、集まった声はただの読み物で終わります。「いろいろな意見があった」という感想しか出てこない報告の多くは、この工程が抜けたまま進んだものです。

②集めるチャネルを決める

目的が決まったら、先ほどの5つのチャネルから、どの声を使うかを選びます。すべてのチャネルから集める必要はなく、目的から逆算して1〜2か所に絞れば十分です。

たとえば解約の理由を知りたいなら、解約時の問い合わせ記録に、解約した顧客へのアンケートやインタビューを組み合わせる形が考えられます。日々の不満の増減を追いたいなら、コンタクトセンターの記録を毎月同じ条件で集めるのが向いているでしょう。

もしVOCが集まる仕組みが設計できていない場合は、①から逆算し、チャネルを設計します。チャネル設計後から実際にVOCが集まり始めるには時間がかかることも多いので、余裕を持って進行しましょう。

③分類して数える

集めた声を、意味のまとまりごとに分類して数えます。「配送への不満が42件」「初回設定でつまずいた声が17件」のように、どんな声が何件あるかが分かる形に変える工程です。

ここがVOC分析の中心であり、いちばんつまずきやすいところでもあるため、分類の箱の作り方は次の章でまとめて説明します。

④直す順番を決めて、結果を現場へ戻す

最後は、どの声から対応するかを決め、担当する部署へ渡す工程です。分析そのものは終点ではなく、「どこを直すか」を決めて、直した結果を確かめるところまで進んで、はじめて完了します。

対応したあとは、同じ分類で数え直して、その声が実際に減ったかを確かめてください。効果が数字で見えると、次に同じ分析を繰り返すときも、社内の協力を得やすくなるはずです。

集まった声の分析は、分類の箱を自分で作るところから始まる

この章では、工程③の「分類して数える」を詳しく説明します。

アンケートの自由記述には「設問への回答」という前提がありますが、VOCには設問がないため、そもそも何の話をしているのかを整理するところから始めなければなりません。

そこで必要になるのが、「配送」「価格」「初回設定」のような分類の箱を自分で作る作業です。

分類の箱は「直せる単位」で作る

箱をどこまで細かく分けるかは、次の工程で「どこを直すか」を決められる単位になっているかで判断します。たとえば「使いにくい」という箱は、100件集まっても、どの部署が何を直せばよいのかを決められません。「初回設定でつまずく」「説明書の文字が小さい」まで細かく分ければ、それぞれの担当と対策が見えてきます。

逆に、細かくしすぎるのも考えものです。1件だけの箱ばかりが並ぶと、件数として数える意味がなくなってしまうため、判断に迷ったら「この箱のVOC件数が増えたら、誰かが動けるか」を目安にしてください。

なお、分類の作業そのものは、件数しだいで、手作業にも、テキストマイニングや生成AIといった機械にも任せられます。数十件程度なら1件ずつ読んで分類できますが、数百件前後からは手作業が追いつかなくなり、数千件になると機械の力を借りないと終わりません。

件数ごとの方法の選び方と、生成AIで分類する手順は、別記事「アンケート自由記述の分析はAIに任せられる?回答件数で選ぶ4つの方法と、生成AIで分析する手順」で詳しく解説しています。

同じ箱で、毎月数え直せるようにする

VOCはアンケートと違って、一度集めて終わりではありません。そのため分類も一度きりの作業にせず、同じ箱で定期的に数え直して、件数の増減を追える形にしておくのが基本です。

増減が見えてはじめて、「配送への不満が先月の2倍になった」「改善後につまずきの声が減った」という変化の報告ができます。

時間軸で追いかけて分析を行うためにも、箱の定義は必ず文章で書き残しておいてください。「配送への不満:届くまでの日数・梱包・時間指定への言及を含む。送料の話は「価格」に分類する」のような1行があれば、数え直すたびに基準が揺れることも、担当者が代わって分類が変わることも防げます。

分類の実行を何に頼るかの選択肢は、次の3つです。このうちテキストマイニングとは、よく出てくる語や、同じ回答の中で一緒に使われやすい語の組み合わせを、機械的に数えて図表にする方法を指します。

方法

向いている場面

注意点

Excelなどでの目視分類

全件を読み切れる件数で、声の中身を1件ずつ確かめたいとき

かかる時間が件数にほぼ比例して増えていく

テキストマイニング

よく出てくる語や、語の組み合わせを数えて図表にしたいとき

頻出語はわかるが、「なぜそう書いたのか」という文脈までは読み取れない

生成AI

読み切れない件数を、決めた箱で速く分類したいとき

任せられるのは分類の実行まで。箱を決めることと、結果を採用するかの判断は人が行う

このほか、声を肯定的・否定的に振り分ける「感情分析」と呼ばれる方法も、よく使われるものの1つです。ただし、機械に任せられるのは実行までで、基準を決めることと、結果を採用するかどうかの判断は人が行うという原則は、どの方法でも変わりません。

届いた声は、体験が極端だった人の声に偏っている

ここで1つ、VOCを読むときに知っておきたい研究を紹介します。

イタリアのボッコーニ大学などの研究チームは、オンラインのレビューについて、25の大手サイトに投稿された2億8,000万件以上のレビューを調べました。

その結果、3分の2を超えるサイトで、評価は星1と星5の両端に偏っていたと報告されています。たとえばAmazonの6,870万件のレビューでは、星1と星5だけで全体の68%を占めていました。

Amazonに投稿された6,870万件のレビューのうち、星1と星5が占める割合を示した円グラフ。星1と星5を合わせると全体の68%、星2・星3・星4は合わせて32%。評価が両端に偏っていることを示している。

偏りが生まれる理由を確かめるため、研究チームはヨーロッパの大学の修士課程の学生を対象に、2つの実験も行っています。レストランのレビューについての実験には149人が、本のレビューについての実験には158人が、それぞれ参加しました。

どちらの実験でも、参加者は無作為に2つのグループに分けられます。一方のグループはレビューを書く対象を「自分で選んで」書き、もう一方のグループは、直前に行った店(または直前に読んだ本)について、レビューを書きました。

その結果、自分で対象を選んで書いたグループの評価は星1と星5に偏り、直前のものについて書いたグループは星4がいちばん多くなっています。

この結果から研究チームは、偏りを生んでいるのは「書く対象を自分で選べる」という仕組みそのものだ、と結論づけています。自分で選べるからこそ、レビューを書くべきだと強く感じた対象(低い評価または高い評価を持った対象)をレビューしやすく、どちらでもない体験はそもそもレビューをしません。体験が極端だった人の声に偏るのは、この「選べる」仕組みの結果だったのです。

声を上げるかどうか、何について声を上げるかを顧客の側が選べるという条件は、レビューに限らず、向こうから届く声のすべてに共通します。届いた件数を読むときは、それが「声を上げることを選んだ人」の数であって、黙っている多数の顧客まで数えたものではない、という前提を添えて読んでください。

どれから直すかを、件数だけで決めない

分類と集計を終えると、件数の多い箱から直したくなるものです。ただ、前の章で見たとおり、届いた声の件数には「声を上げることを選んだ人」の偏りが乗っているため、件数の多さを、そのまま困っている顧客の多さとして読むことはできません。

直す順番は、件数だけでなく、次の3つを並べて決めるのが基本です。

  • 件数:その箱に何件入っているか。同じ条件で数えた前月や前四半期からの増減もあわせて見る

  • 深刻さ:解約・安全・信頼にかかわる声かどうか。1件でも先に対応すべき声はある

  • 直せるか:自社の判断で変えられることか。変えられない箱に時間を使いすぎない

たとえば「解約を検討している」という声は、たとえ数件でも、数百件の「おおむね満足」より先に扱うべき場合があります。3つの観点を1枚の表に並べておくと、直す順番の議論が、担当者の感覚に流されにくくなるでしょう。

多くの顧客の声を集めるなら、AIインタビューサービス「Spark Research」

Spark Research は、アサヒビールや日本たばこ産業(JT) などの大手メーカーも利用する、AIインタビューサービスです。

届いた声を分類して数えられるようになっても、「なぜそう思ったのか」という理由まで詳細に書かれていることは、ほとんどありません。声の理由や背景を知るには、こちらから対象を決めて聞きにいく調査が必要です。

Spark Research なら、AIがインタビューをモデレートするという手法で、数十名から数百名の顧客に対して、インタビューを短期間で実施できます。これまでのインタビューは、予算や期間の都合から、10名から20名程度で組まれることが多くありましたが、その人数の枠が外れるため、大きな規模のVOCを、詳細な理由まで含めて集められるようになるはずです。

VOC分析の設計から分析までご一緒できますので、下記よりお気軽にお問い合わせください。

集める前に、何を決めたいのかを決める

VOC分析は、届き続ける顧客の声を、判断の材料に変える取り組みです。分類の箱を作り、同じ箱で数え続ければ、特別なツールがなくても始められます。

まずは、いま手元に届いている声を思い浮かべて、「その声で何を決めたいのか」を1文で書き出すところから始めてみてください。その1文が、集めるチャネルと分類の箱を決めてくれます。

よくある質問

VOC分析は何から始めればよいですか?

最初に決めるのは、ツールでも集めるチャネルでもなく、「この分析で何を決めるのか」という1文です。その1文が決まれば、5つのチャネルのどこから集めるか、どんな分類の箱を作るかを逆算できます。声がすでに手元にあるなら、まず数十件を読んで、箱の案を書き出してみてください。

顧客の声は、何件くらい集めれば分析できますか?

一律の基準はありません。何件集まっているかより先に、決めたいことに対して性質の合うチャネルから集められているかを確かめてください。分類の作業量は件数で変わり、数十件程度なら1件ずつ読んで分類できますが、数百件前後からは生成AIなどの機械の力を借りる価値が出てきます。

アンケートの結果の分析も、VOC分析と同じやり方ですか?

重なる部分はあるものの、アンケートには設問という枠組みがあるため、分類の箱をゼロから作らなくてよい点が大きな違いです。単純集計やクロス集計を含めた、アンケート全体の分析のやり方は、別記事「アンケート分析のやり方|集計の3つの基本と、目的別の分析手法の選び方」で解説しています。

分類は生成AIに全部任せてもよいですか?

任せられるのは、決めた基準で全件を分類するという「実行」までです。どんな箱を作るかという基準と、出てきた結果を採用するかどうかの判断は、調査の目的を知っている人の仕事になります。AIの分類を使う場合も、箱ごとに数件ずつ原文に戻って、分類が合っているかを確かめてください。

参考文献

  • Schoenmueller, Verena, Netzer, Oded, & Stahl, Florian (2020). The Polarity of Online Reviews: Prevalence, Drivers and Implications. Journal of Marketing Research, 57(5), 853–877.

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