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アンケート分析のやり方|集計の3...

2026/9/20

アンケート分析のやり方|集計の3つの基本と、目的別の分析手法の選び方

この記事でわかること

  • 集計と分析の違いと、分析の前に「この調査で何を決めるのか」を1文にしておくこと

  • 単純集計・クロス集計・自由記述集計の使い分け

  • 知りたいことから分析手法を選ぶ方法

  • 生成AIに任せられる範囲と、結果の確かめ方

アンケートの回答が集まったら、重要なのはその結果の分析です。ところが、単純集計の表までは作れたものの、そこから「何を言えばよいのか」が分からず手が止まる、という声は少なくありません。

調べてみると、クロス集計、クラスター分析、テキストマイニングなど、10種類を超える様々な手法の名前が出てきます。しかし、名前と定義は分かっても、自分の調査でどれを使えばよいのかまでは、なかなか書かれていないのが実情です。

結論だけ先にお伝えすると、多くの調査は単純集計とクロス集計で足ります。大切なのは、手法の数ではありません。集計の前に回答の質を確かめること、そして集計のあとに、「この調査で何を決めるのか」への答えを書くことです。

本記事では、集計の3つの基本と、目的から分析手法を選ぶ考え方、分析前の回答の質の確かめ方、生成AIに任せられる範囲を順に解説します。

アンケート分析とは、集計した数字を判断に変えること

アンケートの「集計」と「分析」は、同じ意味で使われがちですが、異なる別の作業です。集計は、回答を数えて表やグラフにする作業を指し、分析は、その数字を根拠に「何を決めるか」を言葉にする作業です。

たとえば「パッケージ案Aを選んだ人が62%」というのは、集計の結果にすぎませんが、「Aを選んだ人が62%と多数を占め、回答者が選んだ理由もA案の狙いに合っているため、A案で進めるべき」まで言えて、はじめて分析と呼べます。

集計止まりの報告が生まれやすいのは、調査の目的が「聞くこと」そのものになっているときです。聞いた結果を何に使うのかが決まっていないと、集計表をいくら眺めても、そこから先へ進みようがありません。

そもそも分析の出発点は「この調査で何を決めるのか」

少し話はそれますが、分析に入る前に、この調査で何を決めるのかを、1文で書き出してみてください。「値上げ後も継続して買ってもらえるかを判断する」「3つの広告案から1つに絞る」といった具体的な目的となる1文があると、分析の際に見るべき集計や見方が自然に絞れます。

逆に、決めたいことが曖昧なまま集計を始めると、どの集計項目を見れば良いのかや、どういった示唆に結びつければ良いのかが決まりません。

もし決める内容が定まらない調査であっても、「今後検討を進める仮説を3つ創出する」のように、調査を終えたときに何が手に入っていればよいかを1文にしておくと迷いません。

アンケートの集計は3つ。単純集計・クロス集計・自由記述集計

アンケートの集計は、単純集計・クロス集計・自由記述集計の3つが基本です。それぞれ何がわかり、いつ使うのかを、先に一覧で示します。

集計

何がわかるか

使う場面

つまずきやすい点

単純集計

設問ごとの全体の傾向(各選択肢の人数と割合)

すべての調査の最初の一歩

全体の数字だけを見て、属性ごとの違いを見落とす

クロス集計

属性や回答による違い(誰がどう違うか)

年代別・利用経験別など、比べて判断したいとき

集計表のマス目(セル)の人数が少ないのに、比率をそのまま信じてしまう

自由記述集計

選択肢に用意していなかった理由や不満

数字の背景にある「なぜ」を知りたいとき

件数が多いのに手作業の方法を選び、分類が終わらなくなる

アンケートの集計3つを左から並べた図。単純集計は「設問ごとの全体の傾向」で、設問ごとに各選択肢を選んだ人数と割合を数える、多くのアンケートツールで自動出力されるため作る手間はかからない、複数回答の設問では割合の合計が100%を超える。まず全設問を通して眺め、全体の傾向をつかむ。クロス集計は「誰がどう違うか」で、設問と設問を掛け合わせ属性による違いを見る、割合の計算で何を100%とするかを先に決める、掛け合わせる相手は年代・性別などの属性だけとは限らない。全体の数字を動かしているのが誰かが見える。自由記述集計は「選択肢の外にある声」で、回答を意味のまとまりごとに分類して件数を数える、まとまりごとに代表的な原文を示せる状態にする、数十件・数百件・数千件で選ぶ方法が変わる。数字が示せない「なぜ起きているか」を補う。単純集計は必ず行い、あとの2つは必要に応じて足す。数字が「何が起きているか」を示し、自由記述が「なぜ」を補う。

単純集計は必ず行い、比較したい属性があればクロス集計を足し、自由記述の設問があれば集計の結果に自由記述集計を足す、という組み合わせ方です。

単純集計で全体の傾向をつかむ

単純集計は、設問ごとに各選択肢を選んだ人数と割合を数える、いちばん基本の集計です。全体の何%がどう答えたのかが、設問ごとに一覧になります。

ExcelのCOUNTIF関数やピボットテーブルで作れるほか、多くのアンケートツールでは自動で出力されるため、作る手間はほとんどかかりません。

読み方には順序があり、最初にすべての設問の単純集計を通して眺め、全体の傾向をつかんでから細かい比較に進みます。いきなり気になる設問だけを深掘りすると、全体の傾向とずれた部分に時間を使ってしまうことがあるからです。たとえば「今後も購入したい」が全体で82%と出たら、まず「おおむね好評」という全体像を持ち、その中の例外や違いを次の集計で確かめていきます。

1つ注意したいのが、複数回答ができる設問で、割合の合計が100%を超える点です。回答者の人数を分母にして計算しているために起きることで、間違いではありませんので、報告のときなどは複数回答の数字である旨を注釈します。

クロス集計で、誰がどう違うかを見る

クロス集計は、設問と設問を掛け合わせて、属性や回答による違いを見る集計です。たとえば「商品への満足度」を年代別に集計し直すと、全体では75%だった満足の割合が、20代に限ると50%にとどまる、といった違いが現れます。

全体の数字だけを見ていても、こうした違いには気づけません。誰の回答が全体の数字を動かしているのかは、クロス集計ではじめて見えます。

読み方で迷いやすいのが、割合の計算で何を100%とするかです。たとえば年代と満足度を掛け合わせた表からは、2種類の割合が出せます。

1つは、20代の回答者全員を100%として、そのうち何%が満足かを見る数字です。もう1つは、満足と答えた人全員を100%として、そのうち何%が20代かを見る数字で、まったく別の割合になります。

掛け合わせる設問は、年代・性別のような属性だけとは限りません。利用頻度別、購入経験の有無別など、「決めたいこと」に関係する設問と掛け合わせると、判断に直結する表になります。Excelならピボットテーブルで作れるため、組み合わせを変えながら何度か試すのがおすすめです。

「年代別の打ち手を特定する」など、クロス集計が前提の調査目的の場合は、割付(年代別で規定の回収数を調整する)を実施するようにしましょう。

自由記述集計は、件数で方法が変わる

自由記述は、あらかじめ用意した選択肢の外にある声を拾える、唯一の設問といえます。「なぜその選択肢を選んだのか」という理由や、想定していなかった不満は、数字の集計からは出てきません。

自由記述集計のゴールは、回答を意味のまとまりごとに分類して件数を数え、まとまりごとに代表的な原文(回答者が書いたままの文)を示せる状態にすることです。

単純集計とクロス集計で数字の傾向をつかんだら、その数字の理由を自由記述の中に探しにいきます。数字が「何が起きているか」を示し、自由記述が「なぜ起きているか」を補う、という役割の分担です。

自由記述の分析方法は、Excelでの目視分類・アフターコーディング・テキストマイニング・生成AI活用の4つです。このうちアフターコーディングは、回答を集めた後(アフター)にコード(分類記号)を付けて、選択式の設問と同じように件数を集計できるようにする方法を指します。

数十件程度なら1件ずつ読んで分類できますが、数百件前後からは手作業が追いつかなくなり、数千件になると機械的な処理なしには終わりません。どの方法を選ぶべきかと、生成AIを活用して分析する手順は、別記事「アンケート自由記述の分析はAIに任せられる?回答件数で選ぶ4つの方法と、生成AIで分析する手順」で解説しています。

分析手法は、目的から選ぶ

クラスター分析や主成分分析など、分析手法の名前は、調べればいくらでも出てきます。ただ、手法の定義を1つずつ覚える必要はありません。必要なのは、「知りたいこと」から使う手法を選べるようにしておくことです。

アンケートでよく使われる代表的な手法を、「知りたいこと」別に一覧にしました。

知りたいこと

使う手法

必要になるもの

回答者を、似た者同士のグループに分けたい

クラスター分析

グループ分けの手がかりになる複数の設問

たくさんの設問を、回答の傾向が似たものどうしにまとめて整理したい

主成分分析

同じテーマを多面的に聞いた設問のまとまり

結果を左右している条件の組み合わせを知りたい

決定木分析

結果(例:買う・買わない)を聞いた設問と、条件の候補になる属性・設問

数値の変化を、時間の流れで追いたい

時系列分析

同じ設問を繰り返し聞いた複数回の調査

2つの数値が連動しているかを知りたい

相関分析

数値で答えてもらった2つ以上の設問

事前に設定した調査目的や、集計や分析の中での気づきをベースに、どの手法を使うか決定していくようにしましょう。

多くの調査は、単純集計とクロス集計で足りる

一方で、表に挙げたような様々な手法を使うには、2つの条件があります。手法に見合った回答数があることと、その手法で分析するつもりで設問が設計されていることです。たとえばクラスター分析で回答者をグループ分けするには、分け方の手がかりになる設問を、設計の段階で複数入れておく必要があります。

集まったデータに後から高度な手法をかけても、条件を欠いたままでは、解釈のしようがない結果が返ってくるだけです。

手法を増やす前に、単純集計とクロス集計から、決めたいことへの答えがすでに出ていないかを確かめましょう。高度な分析は、クロス集計では答えの出ない問いがはっきりしたときに実施を検討する、という順番で十分です。

分析を始める前に、回答の質を確かめる

ここまで集計と手法の話をしてきましたが、その手前で確かめておきたいことが1つあります。いま集計しようとしている回答は、どこまで真剣に答えられたものか、という点です。

ウェブのアンケートは手軽に答えられるぶん、深く考えないまま先へ進む回答も一定の割合で混ざります。これがどれくらいの人に起きるのかは、実際の調査データで確かめられている話です。

ミシガン大学の社会調査研究所の研究チームは、回答の速さと答え方の関係を調べました。オランダの世帯を無作為に選んだウェブ調査で、5,814人の回答データを分析しています。

対象になったのは、表形式の設問8問です。表形式の設問では、1つの表の中に質問の項目が縦にいくつも並び、項目ごとに、横一列に並んだ同じ選択肢の中から1つを選んで答えます。どの項目でも同じ位置の選択肢を選ぶと、答えの印が縦に一直線に並ぶ形です。

研究チームは、この5,814人を回答の速さで2つに分けました。質問票の全体を通して、速いほうから数えて4分の1に入る人たちと、残りの4分の3の人たちです。

その結果、速いほうの4分の1の人たちが同じ選択肢を縦にそろえて答えた設問は、1人あたり平均で、8問のうちおよそ2問でした。残りの4分の3の人たちでは、8問のうちおよそ1問にとどまります。極端に速い回答には、設問をよく読まずに答えた痕跡が、目に見える形で残っていたということです。

オランダのウェブ調査5,814人ぶんの回答をもとに、1人あたり平均で、同じ選択肢を縦にそろえた設問が8問中いくつだったかを示した棒グラフ。回答が速いほうの4分の1の人はおよそ2問、残りの4分の3の人はおよそ1問だった。

こういった品質の低い回答を避けるために、適切にトラップ質問の設定などを行い、できる限り回答品質の向上には取り組むようにしましょう。

回答ごとの所要時間についても、多くのアンケートツールが自動で記録しているため、回答時間を短い順に並べて、目立って短い回答がまとまって現れていないかを確認してください。

分析結果を、使われる形にする

集計と分析を終えたら、最後は報告の形に整えます。この時先に決めたいのは、報告の最初に何を書くか、という中身の話です。

グラフを並べただけの資料は、きれいにできていても、読み手の判断を助けません。分析の出発点に立てた「この調査で何を決めるのか」への答えを最初に書き、その根拠として集計結果を添える、という順に組み替えるだけで、資料は判断の材料に変わります。

すべての設問の集計表を本編に並べる必要はなく、「答え→根拠になった集計表→補足資料」の順に並べる構成で十分です。口頭で報告する場合も同じ順で、最初のひとことで答えを伝えてみてください。

結論は、決めたいことへの答えの形で書く

また、結論の文の基本は、決めたいことへの答えとして読める形で書くことです。「値上げ後も継続して買ってもらえるか」を決める調査なら、「『継続して買う』という回答が大半を占めた。『買うのをやめたい』という回答の理由も、自社で対応できる内容だった。よって、値上げは実行できると判断する」のように、問いに正面から答える形で書きましょう。

「20代の満足度が低い傾向が見られた」で止まる報告は、事実の描写であって、答えにはなっていません。描写の先に「だから何をするのか」まで書けているかを、提出する前に見直してみてください。

アンケート分析の先を知るなら、AIインタビューサービス「Spark Research」

Spark Research は、アサヒビール日本たばこ産業(JT) などの大手メーカーも利用する、AIインタビューサービスです。

アンケートの分析を突き詰めると、最後は「なぜそう答えたのか」に行き着きます。ただ、アンケートはその場で聞き返せないため、自由記述をていねいに読んでも、理由をたどれる深さに限りがあるのも事実です。

Spark Research なら、AIのインタビュアーが数百名の回答者に対し、回答に応じてその場で追加質問を作り、なぜそう答えたのか、自律的に深掘りを行います。アンケートの選択肢では拾えなかった理由を、同じ調査の中で回収することができる、定量調査に定性調査の要素が追加されたようなサービスです。

AIインタビュー調査の設計から分析までご一緒できますので、下記よりお気軽にお問い合わせください。

分析手法を増やす前に、「何を決めるのか」から分析を始めよう

アンケート分析の質を決めるのは、使った手法の高度さではなく、集計の前と後をどれだけ丁寧に扱えたかです。集計の前に回答の質を確かめること、そして集計のあとに、決めたいことへの答えを書くこと、この2つを押さえれば、単純集計とクロス集計だけでも、判断に足る分析になります。そのどちらにも、特別なツールや高度な統計の知識は必要ありません。

まずは手元の調査について、「この調査で何を決めるのか」を1文で書くところから始めてみてください。その1文が、見るべき集計と、選ぶべき手法を教えてくれます。

よくある質問

回答は何件あれば分析できますか?

一律の基準はありません。必要な件数は、何を決めたいかと、どの集計で見るかによって変わります。属性別のクロス集計をするなら、比べたい属性それぞれに十分な人数がいるかを確かめ、人数の少ないセルは比率ではなく人数で書くのが安全です。

単純集計とクロス集計だけで足りますか?

多くの調査では足ります。決めたいことへの答えがこの2つから出ているなら、それ以上の手法は必要ありません。クラスター分析などの高度な手法が役に立つのは、手法に見合った回答数があり、その手法で分析するつもりで設問が設計されているときです。クロス集計では答えの出ない問いが明確になってから、次の調査とあわせて検討してください。

Excelと専用ツールのどちらを使えばよいですか?

単純集計とクロス集計までなら、ExcelのCOUNTIF関数やピボットテーブルで対応できます。回答数が多い場合や、同じ調査を繰り返す場合は、集計を自動化できる専用ツールのほうが手間の面で有利です。まずExcelで始めて、手間が増えてきたら専用ツールに切り替える、という進め方でも遅くありません。

自由記述はどう分析すればよいですか?

方法は、Excelでの目視分類・アフターコーディング・テキストマイニング・生成AIの4つで、回答の件数に合わせて選ぶのが基本です。選び方の目安と、生成AIで分析する5つの手順は、別記事「アンケート自由記述の分析はAIに任せられる?回答件数で選ぶ4つの方法と、生成AIで分析する手順」で解説しています。

生成AIに全部任せてもよいですか?

分類や要約といった件数の多い作業は任せられますが、「何を決めるのか」の設定と最終的な判断は人の仕事です。また、渡す前に個人情報を外すことと、分類の基準を人が決めて固定することが前提になります。結果は分類ごとに数件ずつ、原文と突き合わせて確かめてください。

参考文献

  • Zhang, C., & Conrad, F. G. (2014). Speeding in Web Surveys: The tendency to answer very fast and its association with straightlining. Survey Research Methods, 8(2), 127–135.

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