

この記事でわかること
グループインタビュー・デプスインタビュー・会場調査・ホームユーステストの費用の目安
見積もりを構成する7つの費目と、人数で増える費用・増えない費用の分け方
費用が跳ね上がる3つの条件と、抑えてよい費目・抑えにくい費目
複数社の見積もりを比べるときに確認する項目
定性調査の見積もりは、同じ「10人に話を聞きたい」という依頼でも、調査会社によって金額が大きく違います。
相場を調べようとしても、出てくる金額は数十万円から数百万円までと幅が広く、自分の調査がいくらで収まるのかは、なかなか見当がつかないのではないでしょうか。
結論を先にお伝えすると、定性調査の費用は「1人あたりの単価×人数」では決まりません。見積もりの中には、人数に関係なくかかる費用と、人数とともに増える費用が混ざっているためです。
本記事では、手法別の費用相場、見積もりを構成する7つの項目、費用が跳ね上がる3つの条件、そして抑えてよい費用と抑えてはいけない費用の見分け方を解説します。
定性調査の費用を左右する最初の分かれ道は、どの手法を選ぶかです。調査会社各社が公開している費用相場を突き合わせて、代表的な4つの手法について、企画から報告書までまとめて依頼した場合の総額の目安を整理しました。
手法 | 費用の目安(総額) | 前提の規模 |
|---|---|---|
グループインタビュー | 1グループあたり20〜60万円。2〜4グループをまとめて実施した場合の総額で100〜200万円 | 1グループ5〜6名・1回2時間 |
デプスインタビュー | 1名あたり5〜15万円。10名前後の実施で50〜100万円 | 1名60〜90分 |
会場調査(CLT) | 実施全体の総額で50〜300万円 | 対象者30〜100名 |
ホームユーステスト(HUT) | 実施全体の総額で50〜150万円 | 対象者30〜100名 |
グループインタビューの総額が、1グループあたりの金額の単純な掛け算より高めなのは、企画・設計や分析の費用がグループ数を増やしてもほぼ1回分のまま乗るためで、この仕組みは後述の「人数を半分にしても、費用は半分にならない」で詳しく説明します。
会場調査は対象者に会場へ集まってもらい、その場で試作品などを評価してもらう手法、ホームユーステストは自宅で一定期間商品を使ってもらう手法です。
これらの費用目安に加え、レポートの形式や納期、報告会実施の有無などによって、さらに料金が積み増しになることも多くあります。
表の目安には、どの手法にも2倍以上の幅があります。同じ「グループインタビューを4グループ」という依頼でも、100万円で収まる調査と200万円かかる調査があるということです。
この差は、調査会社が自由に決めた値段の差ではありません。見積もりを動かしているのは、「対象者の条件の厳しさ」「依頼する範囲の広さ」「実施形式(会場かオンラインか)」の3つです。
では、この3つはなぜ、どのように金額へ効いてくるのでしょうか。それを読み解くには、見積もりの中身を項目ごとに分けて見るのが近道です。
定性調査の見積もりは、おおむね7つの項目で構成されています。見積書での項目名は会社によって異なりますが、中身はほぼこの7つに整理できると考えてよいでしょう。
項目 | 何をする費用か | 何で金額が動くか |
|---|---|---|
企画・設計 | 調査の目的整理、対象者条件と質問の流れの設計 | 調査の複雑さ。人数ではほとんど動かない |
対象者リクルート | 条件に合う人を探し、日程を確定する | 人数と、条件の厳しさ |
謝礼 | 協力してくれた対象者へのお礼 | 人数と、対象者の希少さ |
会場・オンライン配信 | 対面で使うインタビュールームや、オンラインで実施する場合の配信設備の手配 | 実施時間と、会場を使うかどうか |
モデレーター(進行役) | 当日の進行と深掘りの質問 | 実施回数と拘束時間 |
記録・文字起こし | 録音・録画と発言録の作成 | 実施時間と、発言をすべて文字にするか要点だけにまとめるか |
分析・レポート | 発言の整理と報告書の作成 | 報告書の細かさ。人数の影響は小さい |
見積書が届いたら、金額をこの7つに割り振ってみることが重要です。どの項目が総額を押し上げているのかがわかると、値引き交渉ではなく、条件の見直しという建設的な調整ができるようになります。
7つの項目のうち、人数にそのまま比例して増えるのは「対象者リクルート」と「謝礼」の2つです。単価の目安を見ても、リクルートは1名あたり1万円〜1万5,000円、謝礼は一般の消費者で1名あたり7,000円〜1万円と、どちらも「人数×単価」の形で積み上がっていきます。
「会場・オンライン配信」「モデレーター」「記録・文字起こし」の3つは、表のとおり実施の回数や時間で金額が動きますが、デプスインタビューのように1人ずつ実施する手法では実施回数が人数と連動するため、結果としてこちらも人数とともに増えていく項目です。一方、企画・設計は5万〜15万円、分析・レポートは5万〜20万円以上が目安で、対象者が5名でも10名でも大きくは変わりません。
このため、予算が足りないときに対象者を半分へ減らしても、見積もりの総額は半分までは下がらないのが普通です。人数を減らして削れるのは人数とともに増える項目だけで、企画・設計や分析にかかる費用は、人数を減らしてもそのまま残ります。

同じ手法・同じ人数でも、次の3つの条件に当てはまる調査は、相場の上限を超えることが珍しくありません。見積もりを取る前に自分の調査がいくつ当てはまるかを確かめておくと、金額の見当が付けやすくなります。
定性調査の費用をいちばん大きく動かすのは、対象者の条件の厳しさです。
「30代の女性」であれば、条件に合う人は簡単に見つかります。しかし「30代の女性で、特定のブランドを1年以内に購入し、月に数回以上使っている人」まで条件を重ねると、当てはまるのはごく一部の人だけです。
この「条件に合う人が全体に占める割合」は、出現率と呼ばれています。たとえば出現率が10%なら、10名の対象者を確保するのに、単純計算でも100名の候補者が必要です。実際には日程が合わない人や直前の辞退も見込むため、必要な候補者の数はさらに増えます。対象者の人数が同じでも、条件が厳しくなるほどリクルートの費用はかさむうえ、希少な対象者ほど謝礼の相場も上がり、条件が特に厳しい場合には謝礼だけで1名あたり5万円以上かかることもあるほどです。
条件を1つ増やすかどうか迷ったら、費用に大きく影響を与えるということを思い出し、「その条件は調査の目的に本当に必要か」を問い直してみてください。
条件に合う対象者は、募集の期間に余裕さえあれば、通常のリクルート単価で集めることが可能です。しかし「来週までに10名そろえたい」といった短い納期では、候補者への案内や日程の調整を急がせることになり、割増しの費用が乗ってきます。調査会社の繁忙期と重なる時期も、同じ理屈で単価が上がりがちです。
社内の報告時期が決まっている場合は、そこから逆算して、リクルートに充てる期間を十分確保しておきましょう。
企画から報告まですべてを任せれば、届く見積もりは7つの項目がすべて乗った総額です。反対に、設計は自社で行って実施だけを頼む、文字起こしまでで止めて分析は自社で行う、といった形にすれば、外した項目のぶんだけ外部への支払いは減ります。
ただし、項目を外しても、その作業自体がなくなるわけではありません。設計や分析を自社に引き取れば、その工数は社内の担当者の時間に振り替わります。
とくに分析は、10名分の発言録を読み込んで報告書へまとめ直す工程なので、慣れていない担当者には相応の負担です。外部への支払いが減っただけで、調査にかかる会社全体のコストが下がったとは言えません。

ここまでの構造を踏まえると、無理なく効く削減の方法は3つに絞られます。
対象者の条件を見直す:目的に照らして本当に必要な条件だけを残し、それ以外の条件をゆるめて出現率を上げる。たとえば「1年以内に購入した人」を「3年以内」に広げるだけでも、条件に合う人の数は大きく変わる。リクルート費と謝礼の両方に効く
会場をオンラインに替える:会場費がかからなくなり、遠方の対象者も候補に入るためリクルートもしやすくなる
依頼する範囲を絞る:分析を自社に引き取るなど、社内に工数を確保できる場合にかぎって項目を外す
3つに共通するのは、対象者の人数には手を付けず、項目の側を動かしている点です。どれも調査で聞ける中身を損なわずに済む調整なので、予算が厳しいときは、まずこの3つから検討してみてください。
見積もりが予算を超えたとき、真っ先に「では10名を5名に」と人数を削りたくなるものです。しかし、人数を減らしても企画・設計や分析の費用は残るため、総額は期待するほど下がりません。
謝礼を相場より低く抑える方向にも、慎重になったほうがよいでしょう。謝礼は対象者に時間を割いてもらうための対価なので、相場を下回ると、条件に合う人がそもそも集まらなくなる可能性があります。予定の人数に届かなければ日程を延ばして募集をやり直すことになり、節約したはずの金額を上回る追加の費用につながりかねません。
そして、対象者が集まらず調査そのものが成立しなければ、設計や準備にすでに支払った費用は無駄になってしまいます。費用の調整は、調査が成立する範囲で行うのが大前提です。
複数社から見積もりを取ったら、総額だけを並べて選ばないようにします。次の5つの項目を、各社共通で確認してください。
追加費用が発生する条件:リクルートが難航した場合・再実施になった場合・人数を追加した場合の扱い。ここが曖昧なまま契約すると、あとから想定外の請求につながりやすい
謝礼の扱い:見積もりの総額に含まれているか、実費として別に請求されるか。含まれていない見積もりは、そのぶんだけ安く見える
文字起こしの範囲:発言をすべて起こした全文か、要点だけの要約か、そもそも含まれているか。あとから自社で分析し直す予定があるなら全文が前提になる
レポートの細かさ:報告書の分量・体裁と、修正に応じてもらえる回数
ローデータ(音声・録画・文字起こしの元データ)の扱い:データそのものを受け取れるか、調査会社が別の目的への利用を認めているか。次の調査や社内共有に使えるかどうかが変わる
Spark Research は、アサヒビールや日本たばこ産業(JT) などの大手メーカーも利用する、AIインタビューサービスです。
費用の内訳を整理し、削れる項目を調整しても、最後には「予算内に収めるには、聞ける人数をあきらめるしかない」という結論に至ります。
ここまで解説したとおり、当日の実施や記録・文字起こしの費用は人数とともに積み上がるため、従来のインタビュー調査では、聞ける人数には現実的な上限がありました。
Spark Research なら、専門の生成AIがインタビュアーとなり、多数の対象者と24時間、同時並行で1対1の対話を進めるため、コストを極限まで抑えて、数十名から数百名の規模で深掘りのインタビューを行うことが可能です。
実際に、大手の調査会社に依頼した場合と比較して、70%以上の費用削減につながった事例も生まれています。人数を削って予算に合わせる前に、費用の構造そのものを変えるという選択肢が持てるのが、AIインタビューの特徴です。
定性調査の設計から分析までご一緒できますので、下記よりお気軽にお問い合わせください。
定性調査の見積もりは、総額のままでは高いのか安いのかを判断できません。しかし7つの項目に分ければ、どこに金額が乗っているのか、どこなら削ってよいのかを、自分で見極められるようになります。
次に見積もりが届いたら、まず金額を項目に分解し、人数とともに増える費用とそうでない費用に分けるところから始めてみてください。
一般の消費者に60〜120分のインタビューへ協力してもらう場合、交通費込みで1名あたり7,000円〜1万円程度が一般的です。医師・経営層などの専門職では2万円以上、条件が特に希少な対象者では5万円以上が目安になります。
組み合わせ方によりますが、Web調査1,000名で全体の傾向を掴み、そのうち5名にデプスインタビューを行う場合、2つの調査を合わせた総額で100万円程度が一つの目安です。定量で当たりをつけてから定性で深掘りする流れにすると、インタビュー対象者の条件を絞り込めるため、リクルートの無駄も出にくくなります。
外部への支払いは減らせますが、ゼロにはなりません。自社の顧客リストなどから対象者を集められない場合、リクルートと謝礼の費用は残ります。また、設計・実施・分析の工数がすべて社内の担当者の時間に振り替わるため、外注費が減っても、会社全体のコストが減ったとはかぎりません。
2〜3社が目安です。見積もりの数を増やすほど、こちらから各社へ伝える条件の中身がぶれやすくなり、かえって比べにくくなります。依頼したい条件を1つの文書にまとめ、同じものを全社に渡したうえで、本文で挙げた5つの項目を共通で確認するのが現実的です。
参考文献
マクロミル「市場調査の費用相場を手法別に解説|コストダウンの実践ポイント」2026年9月閲覧
GMOリサーチ&AI リサーチトレンドナビ「市場調査の費用相場を手法別に比較」2026年9月閲覧
市場開発研究所「調査費用の相場を徹底解説」2026年9月閲覧
リサート「定性調査の費用相場はいくら?見積もりの内訳と予算の立て方」2026年9月閲覧
Marketing Research Journal「デプスインタビューの費用は?料金相場と内訳、コストを抑える方法」2026年9月閲覧
freeasy「市場調査の費用相場は?リサーチ手法別の目安や予算を抑えるコツを解説」2026年9月閲覧
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